不動産鑑定評価でマイナスになる物件はどうなる?

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ハーバービジネスオンラインの「不動産執行人は見た」のシリーズは、面白おかしく書かれていますが、まさに真実なんだろうなと思います。(一番下にあります)

取り壊し最有効使用

一般的には、古い建物がある土地建物が取引される場合、建物の取り壊しを前提として取引されます。不動産の物件案内には「更地渡し」と書かれてあったりします。更地渡しには、固定資産税の問題もあったりしますが、一般的には、取り壊し費用は売り主負担です。(そうでない場合、「古屋付き」とかになっていますかね)

不動産鑑定評価基準では、建付地とは、「建物等の用に供されている敷地で建物等及びその敷地が同一の所有者に属し、かつ、当該所有者により使用され、その敷地の使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。」とされています。

要説では建付地とは、「建物等と結合して有機的にその効用を発揮しているものであり、建物等との関連において最有効使用の状態にあるか否かが左右されるものである。土地は、法律上独立の不動産として規定されており、建物も同様である。しかし、機能的にはこの両者が結合した状態を所与として価格が形成されているので、鑑定評価上は、土地と建物の一体としての価格を土地と建物とに振り分けることとしている。これが、土地又は建物について有機的一体物の部分としての評価、すなわち部分鑑定評価の存立の根拠となるものである。」と記載されています。

建物等との関連において「最有効使用」でない場合には、いわゆる「取り壊し最有効」となるわけです。

その場合は土地の価格から解体費、つまり取り壊し費用を引いた額が時価(=鑑定評価額)となります。建物の価値はゼロになるだけでなく、取り壊し費用分、土地の価格も下げてしまうことになります。

取り壊し費用>土地価格なら、当然ですが、マイナスもあり得るわけです。

相続税評価基準では

相続税を計算するときの評価、いわゆる「財産評価基本通達」(≠不動産鑑定評価)では、固定資産税の家屋の評価額を用います。これは、どんなに古くなっても残価率(減った後の価格)が再建築価格の2割に設定されています。(※建物が古くなったのに、家屋の固定資産税が下がらないとよく言われるのはこのせいです。)

したがって、この場合、建物には必ず価値があるので、マイナスになることはありません

ちょっと脱線しますが、このことから、相続税の申告の際には、不動産鑑定評価ならマイナスになって、財産評価基本通達ではプラスになるというケースは存在するわけです。なので、古屋がある場合には、不動産鑑定評価を活用することで、相続税を安くすることができる可能性があります。(実際に、活用している税理士さんは多いです)

更地が最も高い

「不動産の価格は、最有効使用を前提として把握される価格を標準として形成される」とされています。つまり、土地の上の建物が最有効使用でない場合には、その使用方法は当該建物に制約を受け、効用が最大限に発揮されず、その敷地に最有効使用の建物が建てられている場合に比べて、価値が低下していると考えます。

3階建てを建てることができる敷地に平屋では、2階分もったいない」というイメージでしょうか。

更地は、建物等の構築物や権利が付着していない、つまり、今から最有効にできる可能性があるという意味で、最も高い価格で取引されるものと言われています。

マイナス物件は?

これからの時代、特に人口減少に向かう中では、持つだけで維持管理費、固定資産税等が必要になることから、更地であっても、活用のしようのない「マイナス物件」が十分に現れてくると思います。

実際、うちの方は田舎ですが、既に、隣の土地を相続した人から「もらって欲しい」というケースを聞いています。持っていても使い道がない、税金がかかる。売るほどでも無い。もらって欲しいと。

しかし、上で書いた通り「財産評価基本通達」では、価値があるので、もらってしまっては「贈与税の対象」になることも十分にあったりします。

不動産の価値は、難しいですね。

そうそう、マイナス物件でも、不動産鑑定評価報酬はちょうだいすることになります(笑)。

 

 

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